【ウェブ上ビブリオ】新入生に薦める本(第5弾)

受講生から「新入生に薦めたい本」第5弾です。

赤毛のアン」というタイトルを聞いたことのある人は多いでしょう。この本は名作として、書かれてから百年以上経った今も、多くの人に読み継がれています。カナダのプリンス・エドワード島を舞台に、孤児(みなしご)だった赤毛のアン・シャーリーが、彼女を引き取ったマリラとマシューのカスバート姉弟の愛情に包まれて育ち、周囲の人々を大きく巻き込みながら成長していく様を描いた物語です。主人公のアン・シャーリーは、両親を幼くして亡くし、親戚の家や孤児院を転々としてきた、一見とても不幸せな女の子です。ところが、アンは空想の世界に生きる女の子。どんなに辛い境遇も、彼女の手にかかればきらきら輝いてみえるから不思議です。アンは、その持ち前の明るさと、負けん気の強さ、そして根気強さで、周りの人に愛された、利口で美しい娘へと成長していきます。
物語には、アンの数々の失敗も描かれています。その一つを紹介します。彼女は地元の学校に通うのですが、そこで出会ったギルバートという名の男の子に、赤毛を「にんじん」とからかわれます。それにカッとなった彼女は、石盤で彼の頭を思い切り殴ってしまいます。この出来事は、彼女が大人になっても友人からからかいの種にされてしまう、大きな失敗の一つです。
私がこの本を新入生に紹介しようと思った理由は、いくつかあります。まず、ぜひ多くの人に名作といわれる物語を読んでもらいたいと思います。先述したように、この本は書かれてから百年以上経っているにも関わらず、今も多くの人に読まれています。それだけこの本には魅力があるということなのだと私は思います。そんな文章に触れることは、いい経験になるのではないでしょうか。また、主人公アンは努力家で、勉学に励み、良い大学へと進学します。なんとなく、阪大生である私たちや新入生と被る部分もあるように思います。そんな彼女の物語は、魅力的で、色褪せない、不思議な力を持っています。ぜひ手に取ってみてください。きっと誰しもが彼女の虜となってしまうことと思います。
(文学部・1回生)

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

この本についてはご存知な方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。それでも紹介したい、読んだことのある方にももう一度読み返してほしい一冊です。
舞台は美大、五人の若者たちの生き様を追います。彼らは恋に悩み、芸術に悩み、行く末に悩み、…。つきることのない悩みに翻弄されます。振り回されどうにもならない、消してしまいたいけど消えてはくれないそんな悩みを抱えながら、それでも希望をもって明日へと自分の力で歩いて行く彼らの姿。
私はこのハチミツとクローバーという作品を中学生のころ、初めて読んだのですが当時は大学生への憧れしかなく、そこまで深くはこの作品には感じるものはありませんでした。ですが大学生になってから読んでみた感想はまったく異なるものでした。全てが深くわたしに突き刺さるのです。彼らの一言一言に共感を感じ、私の心に突き刺さるのです。
まさに大学生のわたしたちの等身大たちの生き方が生々しく、けれど愛を込めて描かれている作品。それがハチミツとクローバーなのです。だから、大学生になって大学に少しなれた頃、手に取ってほしいなあ。もしくは読み直してほしいなあ。すぐさまあなたもハチクロワールドに引き込まれることでしょう。
(外国語学部・1回生)